扶養内で働くなら年収いくら?2026年の税金・社会保険の壁を分けて確認

「年収はいくらまでなら扶養内?」「106万円の壁はなくなったって聞いたけど本当?」。勤務先からシフトを増やせないかと相談されて、迷っている人もいると思います。

「扶養」には、税金の扶養と健康保険の扶養があり、さらに勤務先の社会保険や夫の会社の家族手当も、別々のしくみで決まります。2026年10月からは、社会保険に入るかどうかを年収ではなく、勤務先の規模と週の所定労働時間で判断するようになりました。シフトを決める前に、4つを分けて確かめるのが近道です。

※2026年10月26日時点の厚生労働省・日本年金機構・国税庁の資料による一般的な説明です。実際の扱いは、勤務先と、夫が加入する健康保険で確認してください。

結論:4つの「壁」は別々に決まる

しくみ何で決まる?目安確認先
① 自分の勤務先の社会保険(健康保険・厚生年金)勤務先の規模、週の所定労働時間20時間以上、2か月以内の期間を定めた雇用でないこと、学生でないこと年収の基準(所定内賃金が月8.8万円以上)は2026年10月1日に撤廃自分の勤務先
② 夫の健康保険の扶養(被扶養者・国民年金の第3号)見込まれる年間収入、夫の収入との比較130万円未満(原則)夫が加入する健康保険
③ 税金(夫の配偶者控除・配偶者特別控除)妻の1月〜12月の合計所得金額、夫の合計所得金額妻の合計所得金額62万円以下で配偶者控除、62万円超133万円以下で配偶者特別控除(額は段階的に減る。令和8年分)夫の勤務先(年末調整)
④ 夫の会社の家族手当・配偶者手当夫の勤務先の決まり会社ごとに違う夫の勤務先の就業規則・給与規程

① 社会保険:年収ではなく「週20時間」で決まる

2026年10月から、106万円の基準がなくなった

条件内容
勤務先特定適用事業所(1年のうち6か月以上、厚生年金保険の被保険者の総数が51人以上と見込まれる企業など。短時間労働者は数に含めない。法人は同じ法人番号のすべての事業所を合算)、任意特定適用事業所(50人以下で労使の合意により申し出た事業所)、国・地方公共団体の事業所
週の所定労働時間20時間以上
雇用期間2か月以内の期間を定めて雇われる人、臨時に雇われる人などは対象外。契約が2か月以内でも、更新の予定があるなど2か月を超えて雇われる見込みがあれば対象(厚生労働省「適用拡大Q&A」)
学生でないこと高校生・大学生・専修学校の生徒などは対象外。休学中の人、定時制・通信制の人、社会人大学院生などは対象
賃金要件なし(所定内賃金が月8.8万円以上という要件は2026年10月1日に撤廃)
時期対象になる勤務先の規模(厚生年金保険の被保険者数)
今(2027年9月まで)51人以上
2027年10月から36人以上
2029年10月から21人以上
2032年10月から11人以上
2035年10月から10人以下も対象

「週20時間」はどう判断される?

  • 契約が週20時間未満なら、原則として加入しません
  • 契約が「月○時間」の場合は、1か月の所定労働時間を「52÷12」で割って週あたりに換算します
  • 残業などで一時的に週20時間以上になっても、そのことだけでは加入しません(厚生労働省「社会保険の適用拡大」)
  • ただし厚生労働省「適用拡大Q&A」では、契約上は週20時間未満でも、実際の労働時間が2か月続けて週20時間以上となり、その後も同じ状態が続くと見込まれる場合は、3か月目から加入の対象になるとされています。「2か月続けて」と「その後も続く見込み」の両方がそろったときの扱いです

社会保険に入ると、何が変わる?

  • 自分で健康保険料と厚生年金保険料を払う(勤務先と半分ずつ)。夫の健康保険の扶養と、国民年金の第3号からは外れる
  • 将来の年金に厚生年金が上乗せされる
  • 病気やけがで休んだときの傷病手当金、出産のときの出産手当金の対象になる

② 健康保険の扶養:130万円未満と「見込み」の考え方

①で勤務先の社会保険に入らない人(週20時間未満、または勤務先が対象外の規模)は、夫の健康保険の扶養(被扶養者)に入れるかが次のポイントです。

基準は年間収入130万円未満(原則)

  • 年間収入が130万円未満(60歳以上または一定の障害がある人は180万円未満)
  • 年間収入が、夫の年間収入の2分の1未満

2026年4月からの「労働契約の内容」で判定する扱い

  • 契約期間が1年未満の場合
  • 「シフト制による」など、労働時間がはっきり書かれていない場合
  • 「通勤手当有」など、手当の金額がはっきりしない場合

一時的に130万円を超えそうなとき

人手不足で勤務時間が延びるなど、一時的に年間収入が130万円以上になる場合、勤務先が「一時的な収入の増加」であることを証明すれば、原則として連続2回まで扶養を続けられる扱いがあります(厚生労働省「年収の壁への対応」)。使えるかどうかは、夫が加入する健康保険の判断です。

130万円以上になり、勤務先の社会保険にも入らない場合

夫の扶養から外れ、自分で国民健康保険と国民年金に入ります。この場合、保険料は全額自分で払い、厚生年金の上乗せや傷病手当金(国民健康保険では多くの場合なし)はありません。①の社会保険に入る場合と比べて、負担と保障のバランスが違う点に注意が必要です。

③ 税金:夫の配偶者控除と、自分の所得税

税金の扶養は、1月〜12月の給与収入で判定します。健康保険の「見込み」とは考え方が違います。

夫の配偶者控除・配偶者特別控除(令和8年分)

妻の合計所得金額(国税庁の区分)給与収入の目安(仮定の換算)夫が使える控除控除額(夫の合計所得900万円以下の場合)
62万円以下136万円以下配偶者控除38万円
62万円超95万円以下136万円超169万円以下配偶者特別控除38万円
95万円超100万円以下169万円超174万円以下配偶者特別控除36万円
100万円超105万円以下174万円超179万円以下配偶者特別控除31万円
105万円超110万円以下179万円超184万円以下配偶者特別控除26万円
110万円超115万円以下184万円超189万円以下配偶者特別控除21万円
115万円超120万円以下189万円超194万円以下配偶者特別控除16万円
120万円超125万円以下194万円超199万円以下配偶者特別控除11万円
125万円超130万円以下199万円超204万円以下配偶者特別控除6万円
130万円超133万円以下204万円超207万円以下配偶者特別控除3万円
133万円超207万円超なし―
  • 夫の合計所得金額が900万円を超えると控除額は小さくなり、1,000万円を超えるとどちらも使えません
  • 妻の所得が増えても、控除は段階的に小さくなるしくみで、ある金額を超えた瞬間になくなるわけではありません
  • 控除が減ったときに夫の税金がいくら変わるかは、夫の所得・税率・ほかの控除によって違います。年収だけでは決まりません

妻自身の税金

令和8年分から基礎控除や給与所得控除の最低額が引き上げられましたが、妻自身に所得税・住民税がかかるかどうかは、ほかの所得や控除によって変わります。また、住民税は所得税と控除の額や基準が違い、所得税がかからなくても住民税がかかることがあります。自分の税金は、勤務先の年末調整の結果(源泉徴収票)や、住んでいる市区町村の案内で確認してください。

④ 夫の会社の家族手当・配偶者手当

家族手当や配偶者手当は、国の制度ではなく、夫の勤務先が独自に決めている手当です。「妻の年収が○万円未満」「健康保険の扶養に入っていること」など、条件は会社によって違います。

厚生労働省の「適用拡大Q&A」でも、社会保険に入ると家族手当や配偶者手当の対象外になる可能性に注意するよう案内されています。条件と金額は、夫の会社の就業規則や給与規程で確認してください。

仮定の例:週の時間で、どこが変わる?

週の所定労働時間年収① 勤務先の社会保険② 夫の健康保険の扶養③ 夫の控除(令和8年分)
18時間約112万円入らない(20時間未満)入れる可能性(130万円未満)配偶者控除
20時間約125万円入る(20時間以上)外れる(自分で加入)配偶者控除
25時間約156万円入る外れる配偶者特別控除

シフトを決める前のケース別チェックリスト

  • [ ] 自分の勤務先の規模(厚生年金に加入している人が51人以上か)を勤務先に確認した
  • [ ] 雇用契約書・労働条件通知書で、週の所定労働時間を確認した
  • [ ] 実際に働く時間が、2か月続けて週20時間以上にならないか確認した
  • [ ] 社会保険に入ったあとの、手取りの月額を勤務先に試算してもらった
  • [ ] 夫の健康保険の扶養から外れる手続き(夫の勤務先)を確認した
  • [ ] 将来の年金、傷病手当金などの保障も比べた
  • [ ] 交通費を含めて、これから1年間の収入が130万円未満の見込みか確認した
  • [ ] 労働条件通知書に、時間と手当の金額がはっきり書かれているか確認した
  • [ ] 夫が加入する健康保険の扶養の確認方法を調べた
  • [ ] 1月〜12月の給与収入と、ほかの所得の有無から、夫の配偶者控除・配偶者特別控除の区分(合計所得金額)を確認した
  • [ ] 夫の会社の家族手当・配偶者手当の条件を確認した
  • [ ] 自分の所得税・住民税を、年末調整の結果や市区町村の案内で確認する

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参考にした情報

種類出典この記事で使った内容確認日
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公的機関日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」特定適用事業所の定義(被保険者数の数え方・法人番号で合算)、4分の3未満、週20時間・学生でないこと、2か月以内の期間を定めて使用される人の除外、規模の拡大時期(2026年10月1日更新)2026年10月26日
公的機関日本年金機構「保険料調整制度の対象となる事業所・申出期限」2026年10月1日時点ですでに特定適用事業所だった事業所は対象外2026年10月26日
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本記事は一般的な情報提供を目的としています。制度や商品の詳細は公式情報をご確認ください。個別の判断は、ご自身の状況に応じて専門家へご相談ください。