この記事の対象読者
- 児童手当を使わずに貯めておけば、大学費用に足りるのか知りたい方
- 大学4年間でいくらかかるのか、根拠のある数字で確認したい方
- 足りない場合、毎月いくら積み立てればよいかを出したい方
児童手当の金額・支給月・申請の詳しいしくみは児童手当、うちはいくらもらえる?、教育費全体の目安は教育費はいくら必要?、準備の手段は学資保険とNISA、教育資金はどっちで準備する?で扱っています。
先に結論
- 第1子・第2子の児童手当を0歳から高校生年代まで全部貯めると、約234万〜245万円が目安です(生まれ月で変わります。この記事の計算方法による試算)。
- 大学の費用は、学校の種類・自宅か自宅外か・どの調査を使うかで大きく変わります。たとえば私立大学の授業料・施設設備費の4年分と入学料の合計は約480万円(文部科学省 令和7年度入学者の平均から計算)です。
- 児童手当234万円と比べると、私立大学のこの学費だけで約246万円足りない計算になります。国立大学の「授業料その他の学校納付金」の4年分(約191万円、日本学生支援機構 令和6年度)なら、学費は児童手当の範囲に収まる計算ですが、受験費用・生活費・自宅外通学の費用は含まれていません。
- 足りない額は「大学費用の見込み−児童手当の累計」で出し、残りの月数で割ると毎月の積立額の目安になります。
- 申請が遅れると、遅れた月分の手当は原則受け取れません。貯める額は、実際に受け取った額で計算します。
※2026年10月11日に公的機関のページで確認した内容をもとにした一般的な情報です。統計は平均値で、進路・地域・通学形態で実際の費用は変わります。
制度・条件
児童手当の月額(こども家庭庁)
| 子どもの年齢 | 第1子・第2子 | 第3子以降 |
|---|---|---|
| 3歳未満 | 月15,000円 | 月30,000円 |
| 3歳以上〜高校生年代(18歳到達後最初の3月31日まで) | 月10,000円 | 月30,000円 |
- 支給は偶数月(2・4・6・8・10・12月)に、前月分までの2か月分です。
- 原則として申請した月の翌月分から支給されます。出生・転入の翌日から15日以内に申請すれば、月末近くの出生でも申請月分から支給される特例があります。
- 申請が遅れると、原則として遅れた月分の手当は受け取れません。
- 「第3子以降」は、上の子から数えて3人目以降です。18歳到達後最初の3月31日を過ぎ、22歳到達後最初の3月31日までの、親等が経済的に負担している兄姉等も数えます(確認書等の提出が必要)。数え方は児童手当の金額の記事で整理しています。
大学費用の公的調査(調査年と範囲が違うことに注意)
| 調査(実施機関・調査年) | 何の数字か | 国公立 | 私立 |
|---|---|---|---|
| 私立大学等の令和7年度入学者に係る学生納付金等調査(文部科学省) | 私立大学の1人当たり平均。授業料・入学料・施設設備費 | ― | 授業料968,069円、入学料240,365円、施設設備費172,550円(初年度の納付金等の総計1,507,647円は実験実習料等を含む) |
| 令和6年度 学生生活調査(日本学生支援機構) | 大学学部・昼間部の学生1人の年額。「授業料その他の学校納付金」 | 国立477,200円、公立453,300円 | 1,174,700円 |
| 同上 | 学費(学校納付金・修学費・課外活動費・通学費)と生活費の合計(年額) | 国立1,577,100円、公立1,463,400円 | 2,160,300円 |
| 同上 | 居住形態別の学生生活費(年額、平均) | 自宅1,801,300円、アパート等2,342,900円(国公私立の平均) | ― |
| 教育費負担の実態調査(日本政策金融公庫・令和3年度、2021年12月公表) | 大学の入学費用(受験費用・学校納付金・入学しなかった学校への納付金) | 国公立67.2万円 | 私立文系81.8万円、私立理系88.8万円 |
| 同上 | 大学の在学費用(年額。授業料・通学費・教科書代などの学校教育費と、塾などの家庭教育費) | 国公立103.5万円 | 私立文系152.0万円、私立理系183.2万円 |
| 同上 | 自宅外通学者への仕送り額(年額)/自宅外通学を始める費用 | 95.8万円/38.7万円(国公私立の区別なし) | ― |
注意点:
- 日本学生支援機構の数字は在学生の年額の平均で、入学年の入学料をどう含むかはこの表からは確認できません。
- 日本政策金融公庫の調査は令和3年度(2021年)が最新で、64歳以下の高校生以上の子を持つ保護者へのインターネット調査です。現在の金額とは異なる可能性があります。
- 2025年度から、扶養する子が3人以上の多子世帯は、所得制限なく大学等の授業料・入学金が一定額まで減免される制度があります(上限は大学の国公立で入学金28万円・授業料54万円、私立で入学金26万円・授業料70万円、日本学生支援機構)。扶養する子の数が減ると対象外になる場合があります。
具体例・比較表
架空の例です。児童手当の累計は、出生の翌月分から受け取り、3歳未満の月数を36か月として計算しています(3歳になる月の扱いは市区町村で確認してください)。計算はPythonで検算しています。
児童手当を全部貯めた額(第1子・第2子)
| 生まれ月 | 受け取る月数 | 3歳未満(15,000円×36か月) | 3歳以上(10,000円×残りの月) | 累計 |
|---|---|---|---|---|
| 3月生まれ(最も短い) | 216か月 | 540,000円 | 1,800,000円(180か月) | 2,340,000円 |
| 4月生まれ(最も長い) | 227か月 | 540,000円 | 1,910,000円(191か月) | 2,450,000円 |
第3子以降は月30,000円のため、同じ条件で約648万〜681万円です(第3子として数えられる期間による)。
大学費用と比べた差額(児童手当2,340,000円の場合)
| 比べる大学費用(4年分) | 計算 | 大学費用 | 児童手当との差 |
|---|---|---|---|
| 国立「授業料その他の学校納付金」(日本学生支援機構 令和6年度) | 477,200円×4年 | 1,908,800円 | 約43万円残る |
| 私立「授業料その他の学校納付金」(同上) | 1,174,700円×4年 | 4,698,800円 | 約236万円不足 |
| 私立 授業料+施設設備費(4年)+入学料(文部科学省 令和7年度入学者) | 968,069円×4+172,550円×4+240,365円 | 4,802,841円 | 約246万円不足 |
| 国公立 入学費用+在学費用4年(日本政策金融公庫 令和3年度) | 67.2万円+103.5万円×4 | 約481万円 | 約247万円不足 |
| 私立文系 同上 | 81.8万円+152.0万円×4 | 約690万円 | 約456万円不足 |
| 私立理系 同上 | 88.8万円+183.2万円×4 | 約822万円 | 約588万円不足 |
- 日本政策金融公庫の在学費用には、授業料のほか通学費・教科書代・塾などの家庭教育費が含まれるため、学費だけの数字より大きくなります。
- 自宅外から通う場合は、さらに仕送り(日本政策金融公庫 令和3年度で年95.8万円、4年で約383万円)や、自宅外通学を始める費用(同38.7万円)がかかる場合があります。
毎月の積立額の目安(架空の例)
子どもが8歳で、大学入学まで残り10年(120か月)の場合、上の差額を120か月で割ると:
| 差額 | 毎月の積立額の目安 |
|---|---|
| 約246万円(私立・文部科学省の数字) | 約20,524円 |
| 約456万円(私立文系・日本政策金融公庫の数字) | 約37,983円 |
利息・運用益は0円として計算しています。将来の学費は変わる可能性があります。
判断の手順
- 児童手当の累計を出す:子どもの生まれ月・出生順から、高校生年代までに受け取る見込み額を出します。すでに使った分は差し引きます。
- 比べる大学費用を決める:国公立か私立か、自宅か自宅外かを仮に決め、どの調査の数字を使うかをそろえます(学費だけか、生活費まで含むか)。
- 差額を出す:「大学費用の見込み−児童手当の累計−すでにある教育資金」で計算します。
- 毎月の積立額を出す:差額を大学入学までの月数で割ります。
- 家計全体で確認する:住宅ローン、生活予備費、老後資金の積立と並べて、続けられる額かを確認します。
- 支援制度を確認する:多子世帯の授業料等減免など、対象になる可能性がある制度を確認します。
よくある誤解
誤解1:児童手当を全部貯めれば、大学費用はまかなえる 国立大学の学校納付金の4年分なら収まる計算ですが、私立大学の学費や自宅外通学の費用まで含めると足りない計算になります。どの費用と比べるかで結論が変わります。
誤解2:大学費用は授業料だけ見ればよい 入学料、施設設備費、受験費用、通学費、教科書代などもかかります。自宅外なら住居費・生活費が加わります。
誤解3:申請が遅れても、後からまとめてもらえる こども家庭庁は、申請が遅れると原則として遅れた月分の手当を受けられなくなると案内しています。出生・転入の翌日から15日以内に申請します。
よくある質問
Q1. 児童手当を全部貯めると、いくらになりますか? A. 第1子・第2子で0歳から高校生年代まで受け取った場合、この記事の計算では約234万〜245万円です。生まれ月、3歳になる月の扱い、申請した月によって変わります。
Q2. 大学4年間の費用は、どの数字を使えばよいですか? A. 学費だけなら文部科学省(私立)や日本学生支援機構(国公私立)、生活費まで含めて考えるなら日本学生支援機構の学生生活費や日本政策金融公庫の調査が参考になります。調査年と範囲をそろえて比べます。
Q3. 3人きょうだいだと、大学の授業料は減りますか? A. 2025年度から、扶養する子が3人以上の世帯は所得制限なく、大学の授業料・入学金が上限まで減免される制度があります。扶養する子の数は申告時の状況で判定され、上の子が扶養から外れると対象外になる場合があります。進学先の大学と日本学生支援機構で確認しましょう。
Q4. 児童手当の貯め方は、預金とNISAのどちらがよいですか? A. 使う時期と、値下がりしたときに困るかで考えます。詳しくは学資保険とNISAの記事をご覧ください。
今日確認すること
- [ ] 児童手当の振込口座の残高と、これまでに使った額を確認した
- [ ] 子どもごとの生まれ月・出生順から、高校生年代までの累計の見込みを出した
- [ ] 比べる大学費用(国公立/私立、自宅/自宅外)を仮に決めた
- [ ] 差額と、入学までの月数で割った毎月の積立額を出した
- [ ] 多子世帯の授業料等減免の対象になるかを確認した
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本記事は一般的な情報提供を目的としています。制度や商品の詳細は公式情報をご確認ください。個別の判断は、ご自身の状況に応じて専門家へご相談ください。
