この記事の対象読者
- 病気やけがで働くことや日常生活が難しくなり、障害年金の対象になるか知りたい方
- 障害者手帳を持っていない、または等級が低いので対象外だと思っている方
- 家族の障害年金の請求を手伝うため、最初に何を確認すればよいか知りたい方
先に結論
- 障害年金の受給は、①初診日の要件、②保険料の納付要件、③障害認定日などに障害等級に該当すること、の3つで決まります。障害者手帳の等級とは別の基準です。
- 初診日に国民年金に加入していれば障害基礎年金(1級・2級)、厚生年金に加入していれば障害厚生年金(1〜3級)が対象です。
- 納付要件は「3分の2以上」が原則で、初診日が2036年(令和18年)3月末日までなら、65歳未満で直近1年間に未納がなければよいという特例があります。
- 精神障害、がん、糖尿病なども対象になり得ます。最終的な判断は日本年金機構が行うため、年金事務所での確認が必要です。
制度・条件
3つの受給要件
| 要件 | 障害基礎年金 | 障害厚生年金 |
|---|---|---|
| ①初診日 | 国民年金加入中、20歳前、または日本国内に住む60歳以上65歳未満で年金制度に加入していない期間 | 厚生年金の被保険者である間 |
| ②納付要件 | 初診日の前日に、初診日の前々月までの被保険者期間のうち、納付済期間と免除期間の合計が3分の2以上(20歳前の未加入期間に初診日がある場合は不要) | 同左 |
| ②の特例 | 初診日が令和18年3月末日まで、初診日に65歳未満なら、直近1年間に未納がなければよい | 同左 |
| ③障害の状態 | 障害認定日(20歳到達日の場合あり)に1級または2級 | 障害認定日に1〜3級 |
出典:日本年金機構「障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額」「障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額」(確認日 2026-10-11)
用語の説明
- 初診日:障害の原因となった病気やけがで、初めて医師などの診療を受けた日です。
- 障害認定日:原則、初診日から1年6か月を過ぎた日です。1年6か月以内に症状が固定し、治療の効果が期待できない状態になった場合はその日です。
- 事後重症:障害認定日には等級に該当しなかったものの、その後に悪化して該当した場合の請求です。請求日の翌月分からの支給で、65歳の誕生日の前々日までに請求する必要があります。
出典:日本年金機構「障害年金ガイド(令和8年度版)」(確認日 2026-10-11)
年金額(令和8年4月分から・年額)
| 区分 | 障害基礎年金 | 障害厚生年金(上乗せ) |
|---|---|---|
| 1級 | 1,059,125円+子の加算 | 報酬比例の年金額×1.25+配偶者の加給年金額243,800円 |
| 2級 | 847,300円+子の加算 | 報酬比例の年金額+配偶者の加給年金額243,800円 |
| 3級 | ― | 報酬比例の年金額(最低保障635,500円) |
| 障害手当金(一時金) | ― | 最低保障1,271,000円 |
- 金額は昭和31年4月2日以後生まれの方の額です(以前生まれの方は1級1,056,125円、2級844,900円、3級最低保障633,700円、障害手当金1,267,400円)。
- 子の加算:2人目まで1人243,800円、3人目以降1人81,300円(18歳到達年度末までの子、または20歳未満で1・2級の障害がある子)。
- 配偶者の加給年金額は、生計を維持している65歳未満の配偶者がいる場合です。
- 障害厚生年金の1・2級に該当する場合は、障害基礎年金もあわせて受け取れます。3級は障害厚生年金のみです。
- 報酬比例の年金額は、厚生年金の加入期間が300月未満なら300月とみなして計算します。
出典:日本年金機構(確認日 2026-10-11)
具体例・比較表
以下は架空の例です。報酬比例の年金額は加入記録で異なるため仮の数字を使っています。実際の等級・年金額は日本年金機構の審査で決まります。
| 例 | 初診日の加入制度 | 家族 | 年金額(年額)の計算 |
|---|---|---|---|
| Aさん(2級) | 国民年金(自営業) | 子2人 | 障害基礎年金 847,300円+243,800円×2=1,334,900円 |
| Bさん(2級) | 厚生年金(会社員) | 65歳未満の配偶者・子2人 | 障害基礎年金1,334,900円(子の加算含む)+報酬比例60万円(仮)+配偶者加給243,800円=2,178,700円 |
| Cさん(3級) | 厚生年金(会社員) | ― | 報酬比例の年金額。仮に40万円でも最低保障の635,500円 |
| Dさん | 国民年金(自営業) | ― | 3級相当の状態の場合、障害基礎年金は1・2級のみのため対象外 |
- 同じ状態でも、初診日にどの制度に加入していたかで受け取れる年金の種類が変わります。
- 初診日が会社員時代か、退職後かを確認することが、最初の大きな分かれ目です。
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判断の手順
- 初診日(初めて受診した日と医療機関名)を、診察券・領収書・お薬手帳などで確認する。
- 初診日に加入していた制度(国民年金か厚生年金か)を、当時の勤務状況・ねんきん定期便で確認する。
- 初診日の前日時点で納付要件を満たすか、年金事務所で納付記録を確認する(免除・猶予の期間は納付要件の計算に含まれます)。
- 障害認定日(原則、初診日から1年6か月)の時点と現在の症状・日常生活の状況を書き出す。
- 初診の医療機関で初診日を証明する書類を、障害認定日・現在の医療機関で診断書を依頼する準備をする。
- 年金事務所(障害基礎年金は市区町村の窓口でも可)に相談し、請求書類を確認する。
よくある誤解
- 「障害者手帳がないと障害年金はもらえない」:障害年金の等級は手帳の等級とは異なる基準です。手帳の有無だけでは決まりません。
- 「がんやうつ病は対象外」:障害年金ガイドでは、精神障害(統合失調症・双極性障害・発達障害など)や内部障害(糖尿病・がんなど)も対象として例示されています。
- 「会社を辞めた後に受診したので障害厚生年金になる」:基準は初診日の加入制度です。退職後に初診日があれば、原則として障害基礎年金の対象になります。
- 「さかのぼって何年分でも受け取れる」:障害認定日による請求でも、さかのぼって受け取れるのは時効により5年分が限度です。
よくある質問
Q1. 初診の病院がなくなっていて証明が取れません。 A. 障害年金ガイドでは、初診日を合理的に推定できる一定の書類などにより、本人が申し立てた日が認められる場合があるとしています。年金事務所に相談してください。
Q2. 国民年金を免除されていた期間があっても大丈夫ですか? A. 納付要件は「納付済期間と免除期間を合わせて3分の2以上」です。免除が承認されている期間は含まれますが、未納の期間は含まれません。免除・猶予の手続きは国民年金の免除・納付猶予の記事をご覧ください。
Q3. 20歳前に初診日がある場合は? A. 20歳前で年金制度に加入していない期間に初診日がある場合、納付要件は問われません。
一方、本人の前年所得による支給制限があります(令和8年4月時点で扶養親族がいない場合、所得3,761,000円超で2分の1、4,794,000円超で全額が支給停止)。
Q4. 働いていると受け取れませんか? A. 受給要件は3つの要件で判断され、就労の有無だけで決まるものではありません。等級の判定では日常生活や労働の状況が考慮されるため、詳しくは年金事務所で確認してください。
今日確認すること
- [ ] 初診日と初診の医療機関名
- [ ] 初診日に加入していた制度(国民年金・厚生年金)
- [ ] ねんきん定期便などで、未納の期間がないか
- [ ] 初診日から1年6か月の日付(障害認定日の目安)
- [ ] 年金事務所の相談予約
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本記事は一般的な情報提供を目的としています。制度や商品の詳細は公式情報をご確認ください。個別の判断は、ご自身の状況に応じて専門家へご相談ください。

