この記事の対象読者

  • 収入が減った・失業したなどで、国民年金保険料を払うのが難しい方
  • 免除と納付猶予の違いや、将来の年金がどれくらい減るのかを知りたい方
  • すでに払えていない月があり、今からでも申請できるか確認したい方

先に結論

  • 払えない月を「未納」のままにすると、年金額にも受給資格期間にも数えられず、障害基礎年金・遺族基礎年金を受け取れない場合があります。まず免除・納付猶予の申請を検討します。
  • 免除は本人・配偶者・世帯主の前年所得で、納付猶予(20歳以上50歳未満)は本人・配偶者の前年所得で審査されます。
  • 年金額への反映は、全額免除が2分の1、4分の3免除が8分の5、半額免除が8分の6、4分の1免除が8分の7、納付猶予は反映なし(追納しない場合)です。
  • 申請は申請時点から2年1か月前までの期間が対象です。承認された期間は10年以内なら追納でき、3年度目以降は加算額が上乗せされます。

制度・条件

2026(令和8)年度の国民年金保険料

区分月額出典
全額を納める場合17,920円(2026年4月〜2027年3月)日本年金機構
4分の3免除で納める額4,480円日本年金機構
半額免除で納める額8,960円日本年金機構
4分の1免除で納める額13,440円日本年金機構

一部免除の承認を受けた期間は、減額された保険料を納めている必要があります。納めないと、その期間は年金額に反映されない可能性があるため、納付書の期限を確認します。

免除と納付猶予の比較

項目全額免除4分の3免除半額免除4分の1免除納付猶予未納
審査される人本人・配偶者・世帯主同左同左同左本人・配偶者―
年齢の条件記載なし(国民年金の第1号被保険者)同左同左同左20歳以上50歳未満―
受給資格期間算入算入算入算入算入算入されない
老齢基礎年金額への反映2分の18分の58分の68分の7反映なし反映なし
追納10年以内に可同左同左同左同左―(追納の対象外)

反映割合は2009(平成21)年4月分以降の期間のものです。それより前の期間は割合が異なります。

任意加入している方は、免除・納付猶予を申請できません。

所得の目安(前年所得)

種類所得の目安の計算式
全額免除・納付猶予(扶養親族等の数+1)×35万円+32万円
4分の3免除88万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
半額免除128万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
4分の1免除168万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等

ここでの「所得」は収入(年収)ではなく、収入から必要経費や給与所得控除などを差し引いた額です。障害者・寡婦・ひとり親の方は基準が変わるため、窓口で確認します。

申請できる期間・手続き

項目内容
さかのぼれる期間保険料の納付期限から2年を経過していない期間(申請時点から2年1か月前まで)
申請の頻度原則として毎年度必要。全額免除・納付猶予は、継続審査を希望できる
申請先電子申請、または住所地の市区町村の国民年金担当窓口・年金事務所(郵送も可)
本人確認基礎年金番号が分かる書類、またはマイナンバーに関する書類と身元確認書類
失業等による特例失業・倒産・事業の廃止などを確認できれば、失業等した方の前年所得にかかわらず免除・猶予を受けられる特例がある(離職票・雇用保険受給資格者証の写しなど)

学生は「学生納付特例」、出産予定・出産した方は「産前産後期間の免除」の対象で、この記事の制度とは別の手続きです。

2026年10月からは、1歳未満の子を育てる第1号被保険者向けの「育児期間の免除」も始まっています。育児期間の免除は育児期間の国民年金免除で扱います。

追納

項目内容
追納できる期間承認を受けた期間の保険料は10年以内
対象全額免除・一部免除・法定免除、学生納付特例、納付猶予の期間
加算額承認を受けた期間の翌年度から数えて3年度目以降に追納すると、当時の保険料に加算額が上乗せされる
順番原則として古い期間から
税金追納した保険料は社会保険料控除の対象
手続き申込書を年金事務所に提出し、送られてきた納付書で納める

具体例・比較表

以下は架空の例です。2026年度の老齢基礎年金の満額(40年納付で年847,300円、1956年4月2日以後生まれ)をもとに、12か月分が年金額にどう反映されるかを編集部が概算しました。

将来の年金額は毎年度改定されるため、実際の額を示すものではありません。

前提(架空の例):35歳で会社を辞めて個人で仕事を始めたが、収入が不安定で1年間(12か月)保険料を払うのが難しい。

12か月をすべて納めた場合、満額の480分の12にあたる年約2.1万円(847,300円÷480×12≒21,183円)が老齢基礎年金に反映されます。

12か月の扱いその12か月に自分で納める保険料(2026年度額)老齢基礎年金への反映(年額の概算)全額納付と比べた差(年額の概算)
全額納付215,040円約21,183円―
4分の1免除161,280円約18,535円約−2,648円
半額免除107,520円約15,887円約−5,296円
4分の3免除53,760円約13,239円約−7,943円
全額免除0円約10,591円約−10,591円
納付猶予(追納なし)0円0円約−21,183円
未納0円0円約−21,183円(受給資格期間にも数えられない)

納付猶予と未納は、年金額だけを見ると同じに見えます。

違いは、猶予は受給資格期間に数えられ、障害基礎年金・遺族基礎年金の要件の面でも未納と扱いが異なる点です。病気やけがの後にさかのぼって申請しても、障害基礎年金の保険料納付要件には算入されないと機構は説明しています。

後から収入が戻った場合は、追納で年金額を全額納付に近づけられます。ただし3年度目以降は加算額がかかるため、追納するなら早い年度ほど負担が少なくなります。

年金と家計の見通しを整理したい方は

払える範囲の保険料と、将来の年金・老後資金の見通しを、家計全体の中でFPと一緒に整理できます。

FP相談はこちら

判断の手順

  • 自分が対象の制度を確認する:学生なら学生納付特例、出産前後なら産前産後免除、1歳未満の子を育てているなら育児期間免除を先に確認します。
  • 払えていない月を確認する:ねんきんネットや年金事務所で、未納になっている月と、2年1か月以内かを確認します。
  • 失業・廃業かを確認する:該当する場合は、離職票や雇用保険受給資格者証の写しなどを用意し、失業等による特例を使えるか確認します。
  • 前年所得を目安の表と比べる:本人だけでなく、配偶者・世帯主(親と同居している場合は親など)の所得も確認します。世帯主の所得で免除が難しい場合でも、50歳未満なら本人・配偶者のみで審査される納付猶予の対象になる場合があります。
  • 申請する:電子申請または市区町村・年金事務所に提出します。全額免除・猶予は継続審査の希望も記入します。
  • 一部免除なら減額後の保険料を納める:納付書の期限を家計の予定に入れます。
  • 収入が戻ったら追納を検討する:古い期間から、加算額がかかる前の年度を目安に検討します。

よくある誤解

  • 「免除なら満額もらえる」:全額免除の期間は、年金額に2分の1だけ反映されます。満額に近づけるには追納が必要です。
  • 「猶予も免除と同じように年金額に反映される」:納付猶予は受給資格期間に数えられますが、追納しない限り年金額には反映されません。
  • 「一部免除は申請すれば終わり」:減額された保険料を納めている必要があります。
  • 「事故や病気の後で申請すれば間に合う」:さかのぼって申請しても、障害基礎年金の保険料納付要件には算入されないと機構は説明しています。

よくある質問

Q. 親と同居していると免除は受けられませんか? A. 免除は世帯主の所得も審査されるため、親が世帯主で一定の所得がある場合は承認されない可能性があります。50歳未満であれば、本人・配偶者の所得で審査される納付猶予の対象になる場合があります。

Q. 過去の未納分も免除を申請できますか? A. 申請時点から2年1か月前までの期間(納付期限から2年を経過していない期間)が対象です。すでに納めた月は対象外です。

Q. 失業した場合はどうなりますか? A. 失業・倒産・事業の廃止などを確認できれば、失業等した方の前年所得にかかわらず免除・猶予を受けられる特例があります。

失業給付の手続きは退職後の失業給付の手続きをご覧ください。

Q. 追納はいつまでにすればよいですか? A. 承認を受けた期間から10年以内です。翌年度から数えて3年度目以降は加算額が上乗せされます。

Q. 免除を毎年申請し直す必要はありますか? A. 原則として毎年度必要です。全額免除・納付猶予は、継続審査を希望すると翌年度以降も審査を受けられます。

今日確認すること

  • [ ] 未納の月があるか、それが申請時点から2年1か月以内か(ねんきんネット・年金事務所)
  • [ ] 本人・配偶者・世帯主の前年所得の目安
  • [ ] 失業・廃業の場合は離職票や雇用保険受給資格者証の写しがあるか
  • [ ] 基礎年金番号またはマイナンバーが確認できる書類
  • [ ] 一部免除になった場合に、毎月払える保険料の額

関連記事

  • 育児期間の国民年金免除(2026年10月開始)
  • 退職後の失業給付の手続きの順序
  • 障害年金の受給要件(初診日・納付・障害状態)
  • 老後資金を毎月の差額から考える

年金と家計の見通しを整理したい方は

保険料を払える範囲と、追納や老後資金の準備をどう組み合わせるかは、収入の見通しで変わります。家計全体の整理はFPに相談できます。

FP相談はこちら

本記事は一般的な情報提供を目的としています。制度や商品の詳細は公式情報をご確認ください。個別の判断は、ご自身の状況に応じて専門家へご相談ください。