この記事の対象読者
- 住宅ローンを返済中で、まとまったお金ができたので繰上げ返済を考えている方
- 金利の低いローンへの借り換えも気になっていて、どちらから手を付けるか迷っている方
- 繰上げ返済や借り換えで、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)がどうなるかを知りたい方
金利タイプ(変動・固定)の選び方は住宅ローン金利の違い|変動・固定の選び方、返済中に金利ニュースを見たときの確認は金利ニュースを見たら確認する4つで扱っています。
先に結論
- 最初に「手元に残すお金」(生活費の数か月分、近く使う教育費など)を決めます。繰上げ返済で返したお金は、原則として戻りません。
- 次に、借り換えを諸費用込みで試算します。借り換えは、残高・残りの期間・金利差によって効果が大きく変わり、諸費用で効果が小さくなる場合があります。
- 繰上げ返済は、手元資金に余裕がある範囲で、住宅ローン控除への影響(返済期間が10年未満にならないか、年末残高が減ること)を確認してから検討します。
- 借り換えで控除を続けるには、新しいローンが当初ローンの返済のためのものであること、償還期間が10年以上であることなどの条件があります。控除の年数は借り換えで延びません。
※この記事は2026年10月11日に公的機関のページで確認した内容をもとにした一般的な情報です。特定の金融機関・商品をすすめるものではありません。
制度・条件
繰上げ返済と借り換えのしくみ
| 項目 | 繰上げ返済 | 借り換え |
|---|---|---|
| 何をするか | 毎月の返済とは別に、元金の一部(または全部)を前倒しで返す | 別のローンを借りて、今のローンを全額返す |
| 主な効果 | 返した元金にかかるはずだった利息が減る | 金利が下がれば、利息の総額や毎月の返済額が減る可能性がある |
| 主な費用 | 金融機関によって手数料や経過利息がかかる場合がある | 印紙代・融資手数料・抵当権の設定と抹消の登録免許税・司法書士報酬など |
| 手元資金 | 返したお金は原則戻らない | 諸費用を手元資金から払うか、借入れに含めるかを選ぶ場合がある |
| 住宅ローン控除 | 期間短縮で返済期間が10年未満になると、その年以後は控除の対象外。年末残高が減るので控除額も減る場合がある | 条件を満たせば継続。控除の年数は延びない。借入額が直前の残高を上回ると、対象となる残高が按分される |
繰上げ返済の方式(住宅金融支援機構の説明)
- 期間短縮型:毎月の返済額はそのままで、返済期間を短くします。
- 返済額軽減型:返済期間はそのままで、毎月の返済額を減らします。
- 繰上げ返済日までの経過利息を支払う場合があります。
- フラット35の一部繰上げ返済は、窓口で100万円以上、インターネットサービス(住・My Note)で10万円以上、手数料はかからないと案内されています。民間の住宅ローンの最低金額・手数料は金融機関ごとに異なります。
住宅ローン控除への影響(国税庁)
- 繰上げ返済:控除の判定は繰上げ返済後の償還期間で行います。「当初の契約で最初に返済した月」から「短縮後の最後の返済月」までが10年以上なら控除を続けられます。10年未満になると、その年以後は控除を受けられません。
- 借り換え:原則として、借り換えた新しいローンは控除の対象外です。ただし、新しいローンが当初ローンの返済のためのものであることが明らかで、償還期間10年以上などの要件に当てはまる場合は、控除を続けられます。
- 借り換え後の対象額:A=借り換え直前の当初ローンの残高、B=新しいローンの当初の借入額、C=新しいローンの年末残高とすると、A≧Bなら対象額はC、A<BならC×A÷Bです。
- 控除の年数:居住を始めた年から決まった年数で、借り換えで延びることはありません。
- 控除額は年末残高等×0.7%で、住宅の区分・居住年ごとの上限があります(令和4年以降に居住した新築等の場合)。
出典:国税庁 No.1233、質疑応答事例「繰上返済等をした場合の償還期間」、No.1211-1、住宅金融支援機構「繰上返済」「借換融資のご利用条件」(いずれも2026-10-11確認)
フラット35に借り換える場合の条件の例(住宅金融支援機構)
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 借入期間の上限 | ①80歳−申込時の年齢、②40年−住宅取得時の借入日からの経過期間、③35年のうち最も短い年数(長期優良住宅などは②③が50年) |
| 借入額 | 100万円以上1億2,000万円以下。借り換える住宅ローンの残高、または担保評価額の200%のいずれか低い額まで |
| 借り換えるローン | 住宅取得時の借入日から1年以上経過し、申込日前日までの1年間、正常に返済していること など |
| 年齢 | 申込時に満70歳未満(親子リレー返済は例外あり) |
| 借入れに含められる諸費用 | 印紙代、融資手数料、抵当権の設定・抹消の登録免許税と司法書士報酬、物件検査手数料、今のローンの繰上返済手数料と経過利息 など |
民間の住宅ローンへの借り換えの条件は、金融機関ごとに異なります。
具体例・比較表
架空の例です。金利・諸費用は説明のために置いた数字で、実際の金利や将来の結果を示すものではありません。計算は元利均等返済・金利一定として、Pythonで検算しています(端数は四捨五入)。
- 残高2,500万円、残り25年、金利1.5%(全期間同じと仮定)、毎月の返済額 約99,984円
- 手元資金のうち、使える余裕資金は100万円
- 借り換え先の金利は1.2%(架空)、諸費用は70万円(架空)
| 比べる項目 | 何もしない | 繰上げ返済100万円(期間短縮型) | 繰上げ返済100万円(返済額軽減型) | 借り換え(1.2%・諸費用70万円) |
|---|---|---|---|---|
| 毎月の返済額 | 約99,984円 | 約99,984円(変わらない) | 約95,985円(約3,999円減) | 約96,499円(約3,485円減) |
| 返済期間 | 300か月 | 286か月(14か月短縮) | 300か月 | 300か月 |
| 利息の減り方(何もしない場合との差) | ― | 約44万円減 | 約20万円減 | 約105万円減 |
| 費用 | ― | 手数料・経過利息(金融機関による) | 同左 | 約70万円 |
| 費用を引いた差(概算) | ― | 約44万円−手数料等 | 約20万円−手数料等 | 約35万円 |
| 手元資金 | 100万円残る | 0円(100万円は戻らない) | 0円(同左) | 諸費用を手元から払えば30万円残る |
| 住宅ローン控除 | ― | 年末残高が約100万円減るため、控除額が年最大約7,000円減る場合がある(控除の上限・所得税額による) | 同左 | 諸費用を借入れに含め A<B になると、対象額が按分される |
ポイント:
- 利息の減り方だけを見ると借り換えが大きく見えますが、諸費用を引くと差は小さくなります。金利差や残りの期間が小さいと、諸費用のほうが大きくなる場合もあります。
- 繰上げ返済は、余裕資金が0円になる点が見えにくいところです。急な出費で借入れが必要になると、住宅ローンより高い金利のローンを使うことになる可能性があります。
- 借り換えと繰上げ返済は、どちらか一方だけとは限りません。借り換えの後で、残った余裕資金の範囲で繰上げ返済を考える順番もあります。
- 控除への影響(年最大約7,000円)は、「100万円×0.7%」の単純計算です。実際の控除額は、年末残高・控除の上限・所得税と住民税の額によって変わります。
判断の手順
- 手元に残すお金を決める:生活費の数か月分、1〜3年以内に使う教育費・車の買い替えなどを書き出し、それを引いた額を「使える余裕資金」とします。
- 今のローンの条件をそろえる:残高、残りの期間、適用金利、金利タイプ、返済予定表を同じ日付の数字でそろえます。
- 借り換えを諸費用込みで試算する:借り換え先の条件(金利・期間・諸費用・団体信用生命保険)を同じ表に並べ、「減る利息−諸費用」で比べます。
- 控除への影響を確認する:繰上げ返済後の償還期間が10年以上残るか、借り換えで A<B にならないか、控除の残り年数は何年かを確認します。
- 繰上げ返済の方式と額を決める:期間短縮型か返済額軽減型か、余裕資金のうちいくらを充てるかを決めます。
- 同じ表で比べて決める:「何もしない」「繰上げ返済」「借り換え」「借り換え後に繰上げ返済」を一つの表に並べてから選びます。
よくある誤解
誤解1:金利差が少しでもあれば、借り換えたほうがよい 借り換えには諸費用がかかります。残高が少ない、残りの期間が短い、金利差が小さい場合は、諸費用を差し引くと効果が小さくなるか、マイナスになる場合があります。
誤解2:繰上げ返済は早いほど、多いほどよい 利息は早く返すほど減りますが、返したお金は原則戻りません。手元資金が少なくなると、急な出費に対応できなくなる可能性があります。控除の対象となる年末残高も減ります。
誤解3:借り換えると住宅ローン控除はなくなる/やり直しになる 条件を満たせば借り換え後も控除を続けられます。一方で、控除の年数は延びず、残りの年数のままです。借入額が直前の残高を上回ると、対象となる残高は按分されます。
よくある質問
Q1. 繰上げ返済で返済期間が10年未満になると、どうなりますか? A. 国税庁の質疑応答事例では、繰上げ返済後の償還期間(当初の最初の返済月から短縮後の最後の返済月まで)が10年未満になった場合、その年以後は控除を受けられないとされています。期間短縮型を選ぶ前に、短縮後の期間を確認しましょう。
Q2. 借り換えの諸費用を借入れに含めると、控除はどうなりますか? A. 新しいローンの借入額(B)が借り換え直前の残高(A)を上回ると、控除の対象額は「年末残高×A÷B」になります。架空の例で、A=2,500万円、B=2,570万円なら、対象額は年末残高の約97.3%です。
Q3. 期間短縮型と返済額軽減型は、どちらを選べばよいですか? A. 同じ額を繰上げ返済した場合、利息が減る幅は一般に期間短縮型のほうが大きくなります(上の架空の例では約44万円と約20万円)。一方、返済額軽減型は毎月の負担が下がるため、教育費が増える時期の家計に余裕を作りやすくなります。控除の期間要件も含めて選びます。
Q4. フラット35に借り換える場合、借入期間は何年にできますか? A. 住宅金融支援機構の条件では、「80歳−申込時の年齢」「40年−住宅取得時の借入日からの経過期間」「35年」のうち最も短い年数が上限です(長期優良住宅などは例外あり)。
今日確認すること
- [ ] 返済予定表で、今の残高・残りの期間・適用金利を確認した
- [ ] 手元に残すお金(生活費の数か月分と近い支出)の額を決めた
- [ ] 住宅ローン控除の残り年数と、年末残高証明書の金額を確認した
- [ ] 今の金融機関の繰上げ返済の手数料・最低金額・方式を確認した
- [ ] 借り換えを検討するなら、諸費用の見積もりを同じ表に入れた
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本記事は一般的な情報提供を目的としています。制度や商品の詳細は公式情報をご確認ください。個別の判断は、ご自身の状況に応じて専門家へご相談ください。

