この記事の対象読者
- これから住宅ローンを借りる予定で、変動金利と固定金利のどちらにするか迷っている方
- 借り換えなどで金利タイプを選び直すことを考えている方
- 「5年ルール」「1.25倍」という言葉を聞いたが、しくみがよくわからない方
すでに返済中で、金利ニュースを見て契約内容を確認したい方は金利ニュースを見たら確認する4つ、繰上げ返済と借り換えの順番は繰上げ返済と借り換え、どちらを先に?をご覧ください。
先に結論
- 金利タイプは「今の毎月返済額の低さ」ではなく、金利が上がったときに家計が返済を続けられるかで比べます。
- 変動金利は、金利が下がれば返済額も減る可能性がある一方、上がれば返済額が増えます。返済額の見直しは5年ごと・1.25倍までとする商品が一般的ですが、利息が減るわけではなく、未払利息が出る場合があります。
- 全期間固定は返済額が変わらず計画を立てやすい一方、借入時の金利が変動金利より高いことがあり、市場金利が下がっても返済額は変わりません。
- 固定期間選択型は、固定期間が終わった後の返済額が借入時には決まっていません。終了時期が教育費の多い時期と重ならないかを確認します。
- 新規貸出の多くが変動金利型(令和6年度83.5%、国土交通省調査)でも、それが自分の家計に合うことを意味するわけではありません。
※2026年10月11日に公的機関のページで確認した内容をもとにした一般的な情報です。特定の金融機関・商品をすすめるものではありません。
制度・条件
3つの金利タイプの比較
| 比べる点 | 変動金利型 | 固定金利期間選択型 | 全期間固定金利型 |
|---|---|---|---|
| 金利の決まり方 | 返済の途中でも定期的に見直される(半年ごとが一般的) | 「当初10年」など一定期間は固定。その後の扱いは契約で決まる | 借入時の金利が完済まで変わらない |
| 返済額の変わり方 | 5年ごとに見直し、上限は前回の1.25倍とするケースが一般的(商品により異なる) | 固定期間中は一定。終了後はその時点の条件で変わる可能性がある | 変わらない |
| 市場金利が下がったとき | 返済額が減る可能性がある | 固定期間中は変わらない。終了後に下がる可能性がある | 変わらない |
| 市場金利が上がったとき | 返済額が増える。急な上昇では未払利息が出る場合がある | 終了後の返済額が増える可能性がある | 変わらない |
| 計画の立てやすさ | 将来の返済額が決まっていない | 終了後の返済額が借入時には決まっていない | 立てやすい |
| 家計で確認したいこと | 返済額が増えても払える余力、生活予備費 | 固定期間の終わりと教育費・収入の変化の時期 | 当初の返済額が家計に収まるか |
出典:住宅金融支援機構「金利タイプ」(2026-10-11確認)。返済額の見直しルールは商品ごとに違うため、契約書・商品概要書で確認が必要です。
変動金利の「5年・1.25倍ルール」と未払利息
住宅金融支援機構の説明では、一般的な変動金利型は次のしくみです。
- 金利は半年ごとに見直されます。
- 毎月の返済額は5年ごとに見直されます。
- 見直し後の返済額は、変更前の1.25倍までとされているケースが一般的です。
- 金利が大きく上がり、毎月の利息が返済額を上回ると、払いきれない利息は繰り延べられます。これを未払利息といいます。未払利息は支払わなくてよいわけではありません。
1.25倍の上限があるのは「毎月の支払額」です。利息そのものが減るしくみではありません。
新規貸出に占める金利タイプ(国土交通省)
国土交通省「令和7年度 民間住宅ローンの実態に関する調査」では、令和6年度の新規貸出額のうち変動金利型が83.5%で最も高く、前年度より0.8ポイント減っています。審査で考慮する項目としては、完済時年齢・借入時年齢・健康状態・年収・勤続年数・担保評価・返済負担率などが挙げられています。審査に通る額と、家計が無理なく返せる額は別に考えます。
具体例・比較表
架空の例です。金利は説明のために置いた数字で、実際の金利や将来の金利を示すものではありません。元利均等返済として、Pythonで検算しています(端数は四捨五入)。
- 借入額3,500万円、返済期間35年
- 変動金利:当初0.8%(架空)。5年後の返済額見直しの時点で金利が上がったと仮定
- 全期間固定:1.9%(架空)
| ケース | 毎月の返済額 | 当初の変動金利0.8%との差 |
|---|---|---|
| 変動金利 当初0.8% | 約95,571円 | ― |
| 全期間固定1.9% | 約114,154円(完済まで同じ) | +約18,583円 |
| 変動金利:6年目から2.3%に上昇 | 約117,670円 | +約22,099円 |
| 変動金利:6年目から3.3%に上昇(上限なしで計算した額) | 約133,924円 | +約38,353円 |
| 同上で1.25倍ルールがある場合の支払額 | 約119,464円(上限) | +約23,893円 |
5年後の残高は約3,058万円(0.8%のまま5年返済した場合)です。
3.3%に上がった場合の見え方
- 1.25倍ルールにより、毎月の支払額は約119,464円で止まります。
- しかし、本来必要な額(約133,924円)との差、月約14,460円分は元金が減りません。
- その5年間の後の残高は、上限なしで払った場合より約94万円多くなります(約2,828万円と約2,733万円)。
- 1.25倍ルールは「今月の負担」を抑えるしくみで、総額を減らすしくみではありません。この差は、次の見直しや最終回の返済で支払うことになる場合があります。
全期間固定との比べ方
当初は変動金利のほうが月約18,583円低い計算ですが、金利が上がると逆転する可能性があります。どちらが有利かは将来の金利次第で、事前にはわかりません。そのため、「上がった場合にいくらまでなら家計で払えるか」を先に決めておくことが判断の材料になります。
判断の手順
- 比べる金利の条件をそろえる:基準金利か引き下げ後の金利か、いつ時点の金利か(申込時か融資実行時か)をそろえます。どの時点の金利が適用されるかは、金融機関の商品概要書で確認します。
- 今の返済額を家計に当てはめる:毎月の返済額が、手取り収入と生活費の中で無理なく払えるかを確認します。
- 上がった場合の返済額を試算する:変動金利なら「+1%」「+2%」など、自分で決めた幅で試算します。固定期間選択型なら固定期間終了後の金利を仮に置いて試算します。
- 負担が重なる時期を確認する:教育費が増える時期、収入が下がる時期(育休・定年など)と、返済額が変わる可能性のある時期を並べます。
- 生活予備費を決める:返済額が増えても、すぐに家計が回らなくならない予備費の額を決めます。
- 契約書で確認する項目を決めておく:金利見直しの時期、返済額見直しのルール(5年・1.25倍の有無)、未払利息の扱い、固定期間終了時の手続きです。
よくある誤解
誤解1:1.25倍ルールがあれば、利息の負担は増えない 1.25倍の上限があるのは毎月の支払額です。利息は金利に応じてかかり、払いきれない利息は未払利息として繰り延べられます。元金が減らず、後で負担が残る場合があります。
誤解2:新規貸出の8割超が変動金利だから、変動金利を選べば間違いない 国土交通省の調査では新規貸出の83.5%が変動金利型ですが、これは選ばれた割合です。金利上昇に耐えられるかは家計ごとに違います。
誤解3:固定期間選択型は、固定期間が終わっても同じ金利が続く 固定期間が終わった後の金利・返済額は、その時点の条件や契約内容で決まります。借入時には決まっていません。
誤解4:審査に通った額なら返せる 審査では完済時年齢・年収・返済負担率などが考慮されますが、教育費や老後資金の予定までは反映されません。借りられる額と、家計で無理なく返せる額は別に考えます。
よくある質問
Q1. 変動金利の「5年ルール」は、どの商品にもありますか? A. 住宅金融支援機構は「1.25倍が限度とされているケースが一般的」と説明しています。ルールがない商品や、条件が違う商品もあるため、契約書・商品概要書で確認しましょう。
Q2. 未払利息が出たら、払わなくてよいのですか? A. 払わなくてよいわけではありません。住宅金融支援機構も、未払利息は支払わなくてもよいわけではないと注意を促しています。
Q3. 固定期間選択型の固定期間が終わったら、どうなりますか? A. その後の金利タイプや金利は契約内容によって決まります。終了の時期と手続き(金利タイプを選び直すかなど)は、契約書や金融機関からの案内で確認します。
Q4. 繰上げ返済をすると、住宅ローン控除に影響しますか? A. 繰上げ返済で返済期間が10年未満になると、その年以後は控除を受けられない場合があります(国税庁)。詳しくは繰上げ返済と借り換えの記事で整理しています。
今日確認すること
- [ ] 比べている金利が、同じ時点・同じ条件(基準金利か引き下げ後か)の数字かを確認した
- [ ] 今の返済額に「+1%」「+2%」で上がった場合の返済額を試算した
- [ ] 教育費が増える時期・収入が下がる時期を書き出した
- [ ] 生活予備費の額を決めた
- [ ] 商品概要書で、金利見直しの時期・5年・1.25倍ルールの有無・未払利息の扱いを確認した
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本記事は一般的な情報提供を目的としています。制度や商品の詳細は公式情報をご確認ください。個別の判断は、ご自身の状況に応じて専門家へご相談ください。

