この記事の対象読者
- 退職が決まり、次の勤務先が決まるまでの健康保険をどうするか迷っている方
- 任意継続と国民健康保険(国保)のどちらの保険料が低くなるか比べたい方
- 家族の扶養に入れるかどうか、収入の基準を知りたい方
先に結論
- 退職後の主な選択肢は、①任意継続(在職中の健康保険に最長2年加入を続ける)、②住んでいる市区町村の国保、③家族の健康保険の被扶養者、の3つです。転職先にすぐ入る場合はその健康保険になります。
- 任意継続は、資格喪失日(退職日の翌日など)から20日以内の申出が必要で、加入条件は被保険者期間が継続して2か月以上です。
- 任意継続の保険料は全額自己負担です(協会けんぽでは計算に使う標準報酬月額の上限が32万円)。
- 国保は前年の所得などで決まります。倒産・解雇などで離職した方は、前年の給与所得を100分の30とみなす軽減があります。
- 家族の扶養は、原則年間収入130万円未満などの基準があります。どれが低い負担かは人によって変わるため、金額を並べて比べます。
制度・条件
3つの選択肢の比較
| 項目 | 任意継続(協会けんぽの場合) | 国民健康保険 | 家族の健康保険の被扶養者 |
|---|---|---|---|
| 加入の条件 | 資格喪失日の前日までに被保険者期間が継続して2か月以上 | 他の健康保険に加入していない住民 | 収入基準・生計維持などの要件を満たす |
| 手続きの期限 | 資格喪失日から20日以内(20日目が土日祝なら翌営業日。郵送は期限内必着) | 市区町村で確認 | 家族の勤務先で確認 |
| 保険料の決まり方 | 退職時の標準報酬月額×都道府県の保険料率(40〜64歳は介護保険料率を含む) | 前年の所得・世帯人数・市区町村の料率など | 本人の保険料負担なし |
| 計算の上限など | 標準報酬月額は32万円が上限 | 市区町村ごとに異なる | ― |
| 負担 | 全額本人負担(在職中は会社と折半) | 世帯で負担 | ― |
| 期間 | 2年間(就職・保険料未納・本人の申出などで途中喪失) | 他の保険に入るまで | 要件を満たす間 |
| 家族の扱い | 加入先で確認 | 世帯人数が保険料に反映(市区町村で確認) | ― |
出典:全国健康保険協会「任意継続」FAQ(002・004・005・009)、新宿区「非自発的失業者の国民健康保険料の軽減」、全国健康保険協会「被扶養者資格の再確認」(確認日 2026-10-11)
任意継続の注意点(協会けんぽ)
- 保険料は原則2年間変わりませんが、40歳・65歳到達による介護保険料の有無、都道府県の料率変更、上限の変更、転居で変わることがあります。
- 保険料は加入した月から月単位で、日割りはありません。
- 納付期限までに保険料を納めないと資格を失います。
- 健康保険組合に加入していた方は、組合ごとに上限額などが異なる場合があるため、組合に確認してください。
国保の軽減(非自発的失業者)
| 項目 | 内容(新宿区の例) |
|---|---|
| 対象 | 離職日時点で65歳未満、雇用保険の特定受給資格者(倒産・解雇など)または特定理由離職者(雇い止めなど) |
| 軽減の内容 | 前年の給与所得を100分の30とみなして保険料を計算(給与所得のみ) |
| 期間 | 離職日の翌日の属する月から、その翌年度末まで |
| 必要なもの | 雇用保険受給資格者証または受給資格通知、本人確認書類など |
※制度は厚生労働省が2010年に設けたもので、申請が必要です。手続きの詳細は市区町村ごとに確認してください。 出典:厚生労働省 報道発表資料「非自発的失業者に対する国民健康保険料(税)の軽減」、新宿区(更新 2025-04-01)(確認日 2026-10-11)
家族の扶養(被扶養者)の収入基準
| 対象 | 年間収入の基準 |
|---|---|
| 原則 | 130万円未満 |
| 60歳以上、または障害厚生年金を受けられる程度の障害がある方 | 180万円未満 |
| 19歳以上23歳未満(配偶者を除く) | 150万円未満 |
| 同居の場合 | 上記に加え、被保険者の年収の2分の1未満 |
| 別居の場合 | 上記に加え、被保険者からの仕送り額より少ない |
出典:全国健康保険協会、日本年金機構(確認日 2026-10-11)
具体例・比較表
以下は架空の例です。保険料率は都道府県・年齢で異なるため、ここでは「在職中の本人負担」との比率だけを示します(協会けんぽ、同じ都道府県で継続した場合)。
| 退職時の標準報酬月額 | 在職中の本人負担 | 任意継続の保険料 | 在職中との比較 |
|---|---|---|---|
| 30万円 | 30万円×料率÷2 | 30万円×料率 | 約2倍 |
| 41万円 | 41万円×料率÷2 | 32万円×料率(上限) | 約1.56倍 |
- 上限32万円があるため、退職時の給与が高い方ほど、在職中の本人負担との差は小さくなります。
- 国保は前年の所得で決まるため、退職前の年収が高いと保険料が高くなる場合があります。倒産・解雇などで離職した方は、前年の給与所得400万円が120万円とみなされて計算されます(給与所得のみ)。
- 実際に比べるときは、任意継続の金額を加入先に、国保の見込み額を市区町村に確認し、家族分を含めた12か月分で並べます。
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判断の手順
- 退職日と、次の勤務先に入る日(決まっていれば)を確認する。すぐに次の健康保険に入るなら、その手続きを優先する。
- 家族の扶養に入れるかを確認する。今後1年間の収入見込み(失業給付を含むかなど)は家族の勤務先・健康保険で確認する。
- 任意継続の保険料を加入先で確認する。被保険者期間が2か月以上あるかも確かめる。
- 市区町村で国保の見込み額を確認する。倒産・解雇・雇い止めなどで離職した場合は、軽減の対象か確認する。
- 家族分を含めた12か月分の負担で比べる。
- 任意継続を選ぶ場合は、資格喪失日から20日以内に申出書を提出する。
よくある誤解
- 「任意継続の保険料は在職中と同じ」:在職中は会社と折半でしたが、任意継続は全額本人負担です。
- 「退職日から20日以内」:協会けんぽの期限は資格喪失日(退職日の翌日など)から20日以内です。郵送は期限内の到着が必要です。
- 「国保のほうが任意継続より安いはず」:国保は前年の所得・世帯人数・市区町村の料率で決まるため、比べてみないと分かりません。
- 「任意継続は途中でやめられない」:協会けんぽでは、本人の申出による資格喪失も事由に挙げられています。
よくある質問
Q1. 任意継続の途中で国保や家族の扶養に切り替えられますか? A. 協会けんぽでは、任意継続被保険者でなくなることを希望する申出による資格喪失が認められています。喪失日や手続きは加入先で確認してください。
Q2. 任意継続中に就職したら? A. 就職して健康保険の被保険者になったときは、任意継続の資格を失います。
Q3. 国保の軽減は自動で適用されますか? A. 申請が必要です。ハローワークで受け取る雇用保険受給資格者証などを持って、市区町村の窓口で手続きします。
Q4. 失業給付を受けている間は、家族の扶養に入れますか? A. 収入の考え方は健康保険ごとに確認が必要です。家族の勤務先・健康保険に、受給額を伝えて確認してください。失業給付の手続きは失業給付の記事で整理しています。
今日確認すること
- [ ] 退職日・資格喪失日と、任意継続の申出期限(20日以内)
- [ ] 加入先で任意継続の月額保険料
- [ ] 市区町村で国保の見込み額と、軽減の対象か
- [ ] 家族の扶養に入れるか(年間収入の見込み・同居か別居か)
- [ ] 12か月分の負担を3つ並べた表
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退職後の家計を整理したい方は
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本記事は一般的な情報提供を目的としています。制度や商品の詳細は公式情報をご確認ください。個別の判断は、ご自身の状況に応じて専門家へご相談ください。
