この記事の対象読者
- 退職して離職票が届いた(または届くのを待っている)が、次に何をすればよいか分からない方
- 自己都合で退職し、失業給付がいつから入金されるのかを知りたい方
- 入金までの生活費をどのくらい用意しておけばよいか見当をつけたい方
先に結論
- 失業給付(雇用保険の「基本手当」)は、退職しただけでは支給されません。住所を管轄するハローワークで求職の申込みをし、離職票を出して手続きを始めます。
- 手続き後、まず7日間の「待期」があり、この間は支給されません。
- 自己都合などで退職した場合は、待期の後に「給付制限」があります。退職日が2025年4月1日以降なら原則1か月です(2025年3月31日以前の退職は原則2か月)。
- ただし、5年間に2回以上、正当な理由なく自己都合で退職して受給資格決定を受けた場合と、重責解雇の場合は3か月です。一方、2025年4月以降に一定の教育訓練を受けた(受けている)場合は、給付制限が解除される仕組みがあります。
- 入金は、原則4週間に1回の「失業の認定」の後です。認定日から通常5営業日で口座に振り込まれます。自己都合の場合、初回の入金は手続きからおおむね2か月前後になる場合があります(認定日の設定によって変わります)。
制度・条件
受け取るための主な条件
| 項目 | 内容 | 注意点・例外 |
|---|---|---|
| 被保険者期間 | 原則、離職前2年間に雇用保険の被保険者期間が12か月以上 | 倒産・解雇などの場合は、離職前1年間に通算6か月以上で足ります |
| 失業の状態 | 働く意思と能力があり、求職活動をしているのに就職できない状態 | 就職(内定を含む)が決まっている場合は扱いが変わります。ハローワークで確認します |
| 受給期間 | 原則、離職日の翌日から1年間 | 病気・けが・妊娠・出産・育児などで30日以上働けない場合は延長でき、延長は最大3年です |
出典:厚生労働省「Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~」、ハローワークインターネットサービス「基本手当について」
手続きから入金までの流れ
| 順番 | 内容 | 期間・頻度 |
|---|---|---|
| 1 | 会社から離職票(離職票-1・離職票-2)を受け取る | 会社は離職日の翌々日から10日以内に資格喪失届を出し、ハローワークが発行した離職票が会社経由で届きます |
| 2 | 住所を管轄するハローワークで求職の申込みをし、離職票を提出(受給資格の決定。離職理由もここで判定) | 受付は平日8時30分〜17時15分。求職申込みに時間がかかるため16時前の来所が案内されています |
| 3 | 待期 | 失業の状態が通算7日間。この間は支給されません |
| 4 | 受給者初回説明会に出席 | 第1回の失業認定日がここで知らされます |
| 5 | 給付制限(自己都合などの場合) | 待期満了の翌日から原則1か月(下の表を参照) |
| 6 | 失業の認定 | 原則4週間に1回。前回の認定日から今回の認定日の前日までに、原則2回以上の求職活動が必要です |
| 7 | 振込 | 認定を行った日から通常5営業日で、指定した口座に振り込まれます |
出典:厚生労働省「Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~」、ハローワークインターネットサービス「雇用保険の具体的な手続き」
給付制限の期間(2025年4月改正後)
| 退職の理由・状況 | 給付制限 |
|---|---|
| 倒産・解雇など(重責解雇を除く) | なし(待期7日のみ) |
| 正当な理由のない自己都合退職:退職日が2025年4月1日以降 | 原則1か月 |
| 正当な理由のない自己都合退職:退職日が2025年3月31日以前 | 原則2か月 |
| 退職日から遡って5年間に、正当な理由のない自己都合退職を2回以上して受給資格決定を受けた場合 | 3か月 |
| 自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇(重責解雇) | 3か月 |
| 2025年4月1日以降に受講を開始した一定の教育訓練等を、離職日前1年以内に受けた、または離職日以後に受けている場合 | 給付制限が解除されます(重責解雇は対象外。途中退校は該当しません) |
教育訓練による解除の対象は、教育訓練給付金の対象講座、公共職業訓練等、短期訓練受講費の対象講座などです。受講開始日を示す領収書や訓練施設の証明書を持って、受給資格決定日または初回認定日など、決められた時期までに申し出る必要があります。
出典:厚生労働省「令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます」とリーフレット
※ハローワークインターネットサービスの「雇用保険の具体的な手続き」のページには、確認日時点で「待期後2か月間」という改正前の記載が残っていました。本記事は厚生労働省のQ&Aとリーフレット(退職日が2025年4月1日以降は原則1か月)に基づいています。ご自身の期間は、手続きの際にハローワークで確認してください。
給付日数と金額の目安
- 所定給付日数(受け取れる日数の上限)は、90日〜360日の間で、離職日の年齢・被保険者期間・離職理由によって決まります。自己都合など一般の離職者は、被保険者期間が10年未満で90日、10年以上20年未満で120日、20年以上で150日です。倒産・解雇などの場合は、年齢と期間によって長くなる場合があります。
- 1日あたりの金額(基本手当日額)は、おおむね「離職前6か月の賃金(賞与を除く)の合計÷180」の50〜80%(60〜64歳は45〜80%)で、賃金が低いほど率が高くなります。上限額があります(2026年8月1日現在、30歳以上45歳未満は8,270円など)。
- 厚生労働省のQ&Aでは、離職前の平均月額が30万円の場合、月額17.3万円程度という目安が示されています。
出典:ハローワークインターネットサービス「基本手当について」「基本手当の所定給付日数」、厚生労働省Q&A
具体例・比較表
架空の例:会社都合と自己都合で、初回入金までの時期を比べる
前提(架空の例):2025年4月以降に退職。手続日を「0日目」とし、認定日は手続日から4週間ごとに設定されたと仮定します。実際の認定日はハローワークが指定するため、ずれる場合があります。
| 項目 | 会社都合(給付制限なし) | 自己都合(給付制限 原則1か月) |
|---|---|---|
| 0〜6日目 | 待期(支給なし) | 待期(支給なし) |
| 7日目〜約1か月後 | 支給の対象になる期間 | 給付制限(支給なし) |
| 1回目の認定(約4週間後) | 7日目から認定日前日までの21日分が認定される | 認定はあるが、給付制限中のため支給なし |
| 1回目の入金 | 1回目の認定から通常5営業日後(手続きから約5週間) | なし |
| 2回目の認定(約8週間後) | 4週間分(28日分) | 給付制限が明けた日から認定日前日までの分(この例では19日分) |
| 自己都合の初回入金 | ― | 2回目の認定から通常5営業日後(手続きから約2か月) |
日数は、手続日を2026年11月16日とした場合の暦日で計算しました(待期11/16〜11/22、給付制限11/23〜12/22、2回目の認定の対象期間の最終日が翌年1/10)。実際の金額は「基本手当日額×認定された日数」になりますが、日額は人によって異なるため、ここでは日数だけを示します。
この例から分かること
- 自己都合の場合、退職してから離職票が届くまでの期間も加えると、退職から初回入金まで2か月を超える場合があります。
- その間も、家賃・通信費などの固定費に加え、国民健康保険料や国民年金保険料、住民税の支払いが続く場合があります。
- 生活費の見積もりは「入金されるまでの月数×毎月の支出」で出しておくと、貯蓄をどこまで使うかを決めやすくなります。
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判断の手順
- 離職票が届いたか確認する:届かない場合は、まず会社に処理状況を確認します。催促しても届かない場合は、身元確認書類と退職を証明する書類を持ってハローワークに相談します。
- 離職票-2の離職理由欄を確認する:給付制限の有無と給付日数に影響します。実際と違う場合は、手続きの際にその旨を伝え、証明できる書類があれば持参します。
- 必要書類をそろえる:離職票(2枚組)、マイナンバーを確認できる書類、身元確認書類、写真2枚(マイナンバーカードを提示すれば省略可)、本人名義の預金通帳またはキャッシュカード。
- 住所を管轄するハローワークで求職の申込みをする:受給期間は原則、離職日の翌日から1年間です。手続きが遅れると、所定給付日数を受け取りきれない場合があります。
- 教育訓練を受けた・受けている場合は申し出る:2025年4月以降に受講を始めた対象の訓練なら、給付制限が解除される場合があります。
- 初回入金までの生活費を計算する:上の例を参考に、入金までの月数と毎月の支出を掛け合わせます。
- 健康保険と年金の切り替えを確認する:退職すると勤務先の健康保険の資格を失うため、任意継続・国民健康保険・家族の扶養を比べます(詳しくは関連記事へ)。
よくある誤解
誤解1:退職すれば、会社が手続きをして自動で振り込まれる 会社が行うのは離職票の発行までの手続きです。失業給付を受け取るには、本人がハローワークで求職の申込みをして、認定を受け続ける必要があります。
誤解2:自己都合退職は今も2か月待たないともらえない 退職日が2025年4月1日以降なら、給付制限は原則1か月です。ただし、5年間に2回以上の自己都合退職や重責解雇の場合は3か月です。
誤解3:手続きをした日から1か月後には入金される 待期7日・給付制限・認定日・振込までの日数が重なるため、自己都合の場合、初回の入金は手続きから2か月前後になる場合があります。
誤解4:ハローワークに行くのは急がなくてよい 受給期間は原則、離職日の翌日から1年間です。その期間を過ぎると、所定給付日数が残っていても受け取れない場合があります。
よくある質問
Q. 離職票が届く前にハローワークに行ってもよいですか? A. 離職票がないと受給手続きは進められません。届かない場合は、まず会社に確認し、それでも届かないときは身元確認書類と退職を証明する書類を持ってハローワークに相談します。
Q. 離職理由が「自己都合」になっていますが、実際は会社の都合でした。 A. 手続きの際にハローワークに伝えてください。離職理由はハローワークが判定します。事情を示す資料があれば持参します。
Q. 給付制限中にアルバイトをしてもよいですか? A. 働いた日や収入の扱いには申告のルールがあります。働く前にハローワークで確認してください(本記事ではこの扱いの詳細は確認していません)。
Q. 病気や出産ですぐに働けない場合はどうなりますか? A. 30日以上働けない場合は、受給期間の延長を申請できます。延長は最大3年です。
Q. 金額はどこで分かりますか? A. 受給資格の決定後に、ハローワークで基本手当日額と所定給付日数が示されます。事前の目安は、厚生労働省のQ&Aの計算方法を参考にできます。
今日確認すること
- [ ] 離職票-1・離職票-2が届いているか(届いていなければ会社に確認)
- [ ] 離職票-2の離職理由が実際と合っているか
- [ ] 退職日が2025年4月1日以降か、過去5年間に自己都合退職で受給資格決定を受けたことがあるか
- [ ] 必要書類(マイナンバー確認書類・身元確認書類・写真・通帳)がそろっているか
- [ ] 初回入金まで(自己都合なら約2か月を目安)の生活費を預貯金でまかなえるか
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本記事は一般的な情報提供を目的としています。制度や商品の詳細は公式情報をご確認ください。個別の判断は、ご自身の状況に応じて専門家へご相談ください。
